人はどう生きるか。

Ecclesiastes 3:11

西郷南洲遺訓

 こちらを読みました

西郷南洲遺訓―附・手抄言志録及遺文 (岩波文庫)

西郷南洲遺訓―附・手抄言志録及遺文 (岩波文庫)

 

 

 

 

来年のご存知の方もいらっしゃるとおもいますが、来年の大河ドラマは「西郷どん」です

今回紹介する本はその西郷どんがどのような思想を持って生きたのかを示す貴重な資料の1つ

西郷南洲遺訓

になります。

 

一般的に知名度もあり、人気もある西郷どん。しかしながら彼の思想を具体的に知る人は少ないのではないでしょうか?彼の偉大さがどこにあるのかを私たちに示してくれる一冊です。

 

彼の思想をもっともよく表す言葉として、「敬天愛人」があります。

天が何を指し示すかは彼の読んだ著作から探るしかありませんが、中国思想に見られる天の概念から来ていると一般には考えられています。一方で、当時の九州では外国人教師を通して多くの者が聖書を学ぶ機会があったため、そこから来ているのではないかという主張もあります

 

『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』これがたいせつな第一の戒めです。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。

                                                                     マタイの福音書22章37〜39節にあるイエスの教え

http://www.christiantoday.co.jp/articles/2163/20080408/news.htm

 

おそらくはどちらも学んでいたことでしょう。

何にせよ、彼の思想は暴力的な当時にあって非常に寛大なものであり、西郷南洲遺訓をまとめたのが戊辰戦争で敗れ西郷の鶴の一声で恩赦された庄内藩藩士出会ったことからも見て取れます。

 

 

 

幾つか抜粋します

傲慢

歴史を振り返ると、絶対に成功しない政治家というのは、1つの性格が共通しています。

それは、「自分には欠点がない」と思い込んでいることです。

・・・

殊に、政治に携わるも・人々の上に立って導く者こそは、この自覚がきっと必要なのです。

 

おのれに克つ

「克己」、すなわち己に克つ

私利私欲の心、他人の忠告に耳を傾けないこと、他人を理解しない心

これらの心を消し去るのです

 

学問の目的

学問をする者は、大きな志を持たなければなりません。

それぞれの学問を目指す者は、自らが選んだ分野で大いに奮発してほしい。

・・・

さて、ここで1つ気をつけてほしいことがあります。こんにちの学問はその内容が複雑で深遠である。それゆえ学問にのめり込んんでいくと、いつしか、学び覚えるだけに心がとらわれて、ただ大量の書物を読んで覚えるだけを目的とする者がまま現れる。

書斎に引きこもってただ自己満足のためだけに学問をするようになってしまう、世の中に寄与せず、民の幸せを考えようともしない自分勝手な人間になってしまう。

・・・

学問を志すに当たって「克己」の修練をおろそかにしてはならない

 

天を相手にせよ

物事が上手く行かぬ時はどうしたって、腹が立ちます。

しかし、そのような心は未来に何ももたらさぬ。

そもそも、こうかんがえるのがよいのです。「人を相手にせず、天を相手にせよ」と。

おのれの行いは、他人を相手にしているのではない。天を相手にしているのだと。

 

始末に困る人

始末に困る人でなければ、国家の大事業を成し遂げることはできません。

名声にも、地位にも財産にも興味がない。それどころか、生きながらえることにさえ興味がない。

この世に道が行われること、正義が貫かれること、「始末に困る人」にとっての興味とは、この一事なのです。

 

「私利私欲を求めるより、道を求める方が断然楽しい。生きがいを感じる」

ーといった心境に至っている人なのです。