人はどう生きるか。

Ecclesiastes 3:11

神と革命 ロシア革命の知られざる真実

こちら読みました

 

神と革命: ロシア革命の知られざる真実 (筑摩選書)

神と革命: ロシア革命の知られざる真実 (筑摩選書)

 

 通りすがりの書店で目に付いたので手に取ってみたのですが、想像以上に良い本でした。

 

一般に私たちがロシア革命ソビエト連邦と聞いてイメージするのは「レーニンやスターリンの独裁」、「共産主義無神論」といったところでしょうか?

 

本書ではこのような教科書的な知識が間違ったものであることを示しています。

 

実はソビエトプロテスタントに似たキリスト教の一派から生じました。その舞台はイワノボ・ボズネセンスクという新興工業地帯。マックスウェーバープロテスタンティズムと資本主義の精神で指摘したような現象が、古儀式派という勤勉な異端宗派から生まれます。

 

古儀式派と呼ばれる宗派は1666年にロシア正教会がローマカトリックに同調しようとした際に反発して異端認定された教派で、その後のロシア帝国からも迫害される運命にありました。

 

しかしながら日露戦争後、古儀式派の兵士は差別され、宗教的行事抜きに埋葬されたことから同派の抗議活動が生まれ、ニコライ二世が1905年に寛容勅令を出すまでに至ります。そこで社会の表舞台に出てきた古儀式派が第一次ロシア革命を担っていくのです。

 

勤勉さと世俗的禁欲を説く古儀式派は日露戦争終了後には人口の3分の1と巨大な企業活動を有する反体制派の組織として黄金期を迎え、ソビエトの誕生に重要な役割を果たすようになります。

 

古儀式派であるG・シリャプニコフやビクトル・ノギンといった初期のソビエト政府の高官が重要な「労働人民委員部」に配属されていたことは、当時の古儀式派の影響力の大きさを示しているでしょう。

 

初期の革命の担い手は教科書でいわれるようなポリシェビキ党ではなく、福音書を手にした労働者たちであったとは驚きです。

 

しかしながら、その後はレーニンら急進派の無神論者が主導権をつかむことになりますが、そのレーニンの死後、彼を神格化しようとする動きがあったことは皮肉であり興味深いですね。

 

無神論・・・宗教はアヘン

建神派・・・プロレタリアートの神を作り出すべき

古儀式派・・・ヤハウェ信仰

 

 

キリスト教のような宗教からは自由になっても、「信仰」や「崇拝」そのものからは必ずしも自由になれないことは、フランス革命でも「理性」信仰にも現れていた。」

 

ホーチミン毛沢東にも廟が建設された事実からも

この一節はある意味人間の本質をついているように感じます。