中国思想史 上
ってことで読みます。
この本は
中国思想の特徴と
いかに諸子百家と呼ばれるインテリ浪人が活躍し
その後どうなったか
について記述されています。
中国思想の特徴は一言で言うと、"政治的"
春秋戦国時代に栄えたのも、国と国が争う時代だったからと言えます。
しかし、最初から政治的な色合いを帯びていたわけではないようです
春秋戦国時代には主流派として以下の3つがありました
流れとしては
周の封建制崩壊→孔子の登場→墨子、孟子が活躍(当時は儒墨と呼ばれる二大勢力に)
僕が個人的には読んでいて面白かったのは墨家の存在です。
今でこそ儒家の陰に隠れていますが、彼らの思想は
儒家が仁(まずは身内から、差別的な愛)
に対して
墨家は兼愛(分け隔てることのない、普遍的な愛)
を説いたこと
儒家が無神論であるにもかかわらず、冠婚葬祭、様々な儀式を好んだ
のに対し
墨家は国家が倹約すべきと説いたりと
結構現代から見てもまともなことを言っているように感じます。彼らが生きたのは2400年前。イエスが生まれる前だと考えても、その思想の特異さ(諸子百家でほぼ唯一の有神論)がわかりますし、いったい何者だったのか気になります。
ただ、儒家が主流となったことで墨家の資料は失われてしまいました。再び注目されたのは、清の時代、列強に侵略された時に西洋にあって中国にないものを探そうとして注目さるまで、2000年の時を経ています。
むしろ、ロシアの作家トルストイが最初に墨家を評価したと言われるほど中国では日の目を見ることはありませんでした。
一般的なイメージで、孔子が四大聖人と言われてそうなのかと考えていましたが、
こうして墨家の存在を知るとむしろこちらを四大聖人と呼ぶのが適切ではないかと考えてしまいますね。